【独自調査①】働き方改革の“成果”は現場に届いたか ~2024年問題からイマの現場リアルは
BuildApp(ビルドアップ)で建設 DX に取り組む野原グループの BuildApp 総合研究所(所在:東京都新宿 区、代表:山梶真司)は、全国の20代~70代の建設産業従事者1,000人を対象に、所謂「2024年問題」の働き方改革について、法施行から約1年半が経過した現状を調査しました。
建設産業では、「人手不足」「高齢化による技術継承」が業界課題として顕在化しています。私たちは、「建設現場の働き方改革の意識調査」の結果から、建設現場の未来像を考察します。(調査結果の詳細は、後述のトピックスを参照願います。)
<調査実施概要>
- 調査元:BuildApp総合研究所
- 調査期間:2025年11月14日~11月21日
- 回答数:1,000人
- 調査対象:全国の20代~70代の建設産業従事者
- 調査方法:インターネット調査(株式会社PRIZMA/旧・ゼネラルリサーチ株式会社)
結果総評
- 「残業時間上限規制が施行され、現場の労働環境(休日・残業・安全)は改善されてきたか」は全体で55.3%が実感。内訳として「スーパーゼネコン(66.0%)」「準大手・中堅ゼネコン/地方ゼネコン(60.2%)」「サブコン/専門工事店(52.6%)」と現場の労働環境改善の成果がでている。
- 一方で、「法律施行以前よりも現場で人手不足を実感することはあるか」は、全体で67.3%が実感。中でも「スーパーゼネコン(76.7%)」「準大手・中堅ゼネコン/地方ゼネコン(75.9%)」「サブコン/専門工事店(63.0%)」と現場に近い業種ではより深刻化している。
- 「労働環境は改善した」と「人手不足を感じる」を掛け合わせると、全体平均で53.6%を占める。中でも「スーパーゼネコン(65.1%)」「準大手・中堅ゼネコン/地方ゼネコン(58.1%)」と平均を上回る。「サブコン/専門工事店(51.2%)」と平均をやや下回った。 「人手不足を感じる×環境改善された」の裏には、人手は足りていないものの長時間労働を強いることもできないなかでいかに現場を回していくべきか、という現場関係者の苦悩がにじむ。
- 人手不足解消の一手となる「外国人従業員の受け入れ」の肯定・否定を聞いたところ、全体では「肯定的(48.9%)」「否定的(33.7%)」と、外国人の受け入れに肯定的な声が上回る。しかし、「事業所における外国人在籍率」別に掛け合わせ集計すると、「外国人従業員がいる事業所」では、受け入れに肯定的60.4%、否定的32.4%であるのに対して、「外国人従業員がいない事業所」では、肯定的30.4%、否定的43.9%と数字が逆転する。単純な人手の充足だけでなく、BuildAppなど現場の生産性を上げるDXサービスなどとセットで、経験の少ない従業員でも質を維持した施工が可能となる現場改善が求められているとも考えられる。
- 「他産業と比較した賃金水準の実感」を尋ねたところ、全体では「低いと感じる(47.0%)」が「高いと感じる(17.7%)」を大きく上回る。ただし、前出の「人手不足を感じる×環境改善された」と答えたディベロッパーやスーパーゼネコンでは、賃金水準が相対的に高く出ている。
- 「人手不足」が建設産業の課題として顕在化するなか、「賃金や待遇が改善されれば、若手や女性、外国人の入職や、中堅の定着は進むか」と尋ねたところ、「進むと思う(57.8%)」が多数となった。
<考察― 働き方改革が進むも人手不足は深刻化…、外国人従業員の受け入れだけでは不足?>
- 働き方改革から1年、現場の働き方には過半数の業界関係者が環境改善を実感している
- 一方で、建設産業が抱える最大の問題である人手不足は法律施行以前よりも深刻さを増している
- そんな中、人手不足解消の一手としての外国人従業員の受け入れも一定進みつつある一方、在籍の進まない現場はまだまだ多く、受け入れに対する否定的な声も少なくない
- 単なる人手の充足ではなく、生産性を高める方法論が求められていることの証左と言える
- BuildAppが今年リリースしたBuildApp内装は、内装工事における建材数量算出・手配の手間を省き、熟練工でなくとも一定の品質で施工を行えるよう支援するサービスで、限られた人員で工事を効率的に行っていくための生産性向上に主眼を置く
- 内装工事を行うサブコンの人手不足解消に一役買うサービスとしてゼネコン・サブコンからの期待の声も大きい
- BuildAppや内装工事に関わらず、こうしたDXサービスの拡充・進化が、今後の建設産業の希望の光となっていくのか、引き続き調査を継続していく
トピックス
1.働き方改革で労働環境は改善も、人手不足は深刻化 ― DXで現場改善が加速か
調査によると、法律施行後も67.3%が人手不足を実感しており、特に現場に近い業種で深刻です(スーパーゼネコン(76.7%)」「準大手・中堅ゼネコン/地方ゼネコン(75.9%)」「サブコン/専門工事店(63.0%)」)。
一方で、労働環境改善を実感する割合は55.3%と、休日・残業・安全面で一定の成果が見られます。両方を感じる層は全体で53.6%に達し、環境改善の成果が浮き彫りになりました。 背景には、工数自体は減っていないものの、建設DX関連アプリの導入による業務効率化が進んでいることが考えられます。今後は、現場の人手不足をデータで把握し、適正配置や支援要請の判断材料とすることが重要です。クラウド型建設DXサービス「BuildApp」などを活用し、人員配置・稼働状況の可視化を実現するツールの普及が、働き方改革の次のステージを支える鍵となります。
<1-1.【業種別】現場で人手不足を実感することはありますか? <SA>>

<1-2.【業種別】残業時間上限規制が施行されて、現場の労働環境(休日・残業・安全)は改善されてきたと感じますか? <SA>>

<1-3.【業種別】「現場で人手不足を実感する・しない」と「現場の労働環境(休日・残業・安全)は改善された・されていない」の掛け合わせ>

2. 建設業の賃金水準に不満47%
調査によると、建設業の賃金水準について、他産業と比べて「低いと感じる」が47.0%となりました。労働環境は改善されているものの、待遇改善への不満が顕在化しました。ただし、人手不足を感じつつ労働環境改善を実感しているディベロッパーやスーパーゼネコンでは、賃金水準が相対的に高い傾向が見られます。
<2-1.【業種別】建設業の賃金水準について、他産業と比較してどう感じますか? <SA>>

<2-2.「現場で人手不足を実感する・しない」「現場の労働環境(休日・残業・安全)は改善された・されていない」と、「賃金水準について他産業と比較」の掛け合わせ>
×賃金水準-690x432.png)
3.外国人従業員受け入れに賛否分かれるも、在籍事業所では肯定派が多数 ― 人手不足解消へ研修・指導が鍵
建設業界の人手不足解消策として注目される「外国人労働者の受け入れ」について、調査では全体で肯定的48.9%、否定的33.7%と、肯定派が優勢でした。しかし、「外国人従業員の在籍有無」と掛け合わせると、 外国人従業員がいない事業所では否定的が高い数値となっています。
<3-1.【業種別】外国人従業員の受け入れについて、どのように感じますか? <SA>>

<3-2.「外国人従業員の在籍率」と「受け入れを肯定・否定」の掛け合わせ>

BuildApp総合研究所について
BuildApp総合研究所は、建設産業におけるデジタル技術の活用とサプライチェーンの変革を推進・啓蒙するため、2024年12月に設立された任意団体です(代表:山梶真司、野原グループ株式会社グループCMO)。
主な活動内容は、建設DXやデジタルツールの活用方法に関する情報発信です。
施工プロセスの情報革新と工業化に取り組み、社会と未来への貢献を目指して、総合建設会社(ゼネコン)、専門工事店、建材メーカー、学識有識者など、あらゆる建設プレイヤーと連携してまいります。
BIM設計-製造-施工支援プラットフォーム「BuildApp」について ※登録商標取得済み

「BuildApp(ビルドアップ)」は、設計事務所やゼネコンが作成したBIM設計データをより詳細なデータに置き換え、各建設工程で必要なデータとして利活用し建設工程全体の生産性向上を実現するクラウドサービスです。設計積算から製造・流通・施工管理・維持管理までをBIMでつなぐ複数のサービスにより、各プレイヤーに合わせたサービスを提供します。そして、設計・施工の手間・手戻りをなくし、製造・流通を最適化して、コスト削減と廃棄物・CO2削減に貢献します。
「BuildApp」は、建設サプライチェーンの抜本的な効率化と未来へ繋がる成長をサポートし、皆さまと一緒に建設業界をアップデートしていきます。

私たちがBuildAppで実現したいこと
- BIM起点のデータで建設関係者を繋いで連携を生む
- 工程の可視化や業務の自動化により業界内の無駄を解消する
- DX による生産性向上や廃材・CO2排出量の削減を目指す建設企業とともに、サプライチェーン を変革し、「建設DXで、社会を変えていく」
BuildAppの新サービス「BuildApp 内装 建材数量・手配サービス」が2月より商用提供開始
「BuildApp 内装 建材数量・手配サービス」は、建材発注数量の算出や施工情報の自動アウトプットができる内装仕上工事向けのサービスです。
BIMで内装仕上工事に必要な建材手配に関わる業務を効率化し、無駄を省いた効率的な材料手配を実現します。 2025年2月3日より商用提供を開始し、「建築プロジェクトでBIM化が遅れている内装仕上工事」を情報マネジメントの観点から変革する第一歩を踏み出しました。

BuildAppのお問い合わせ先
| BuildApp WEB | https://build-app.jp/ |
| フォーム入力 | https://build-app.jp/contact/ |
※今回、「女性・外国人の活躍と、BIM・デジタル化の可能性にフォーカスした本資料限定コンテンツとして、建設従事者の「リアルな声」をご用意しました。ぜひご覧ください。https://build-app.jp/document/2024-construction-industry-problem/
野原グループ株式会社について
野原グループ株式会社を中心とする野原グループ各社は、「CHANGE THE GAME.クリエイティブに、面白く、建設業界をアップデートしていこう」のミッションのもと、変わる建設業界のフロントランナーとしてステークホルダーの皆さまとともに、サプライチェーンの変革と統合を推し進めます。

社会を支える建設産業の一員である私どもが、業界から排出される廃材量やCO2の削減、生産性向上による働き方改革を実現し、サステナブルに成長していく未来の実現を目指します。https://nohara-inc.co.jp
これまでの調査結果一覧
- 【独自調査】現場の円滑な進行を支えるベテラン技術者の「ノウハウや技術」喪失に8割強が危機感(2025/5/21)
- 【独自調査】「建設工事を取り巻く現状」に、建築主の約6割が危機感(2025/5/13)
- 【独自調査】建設DX、半数以上がデジタル化に着手、約3割が効果を実感(2025/4/24)
- 【独自調査】現場監督・所長、「施工業者、職人の確保が難しくなった」との回答が35.6% (2024/12/20)
- 【独自調査】フロントローディングの実現に必要なのは「発注者の意識変容」が最多の39.3% (2024/12/18)
- 【独自調査】2024年4月以降、「施工業者、職人の確保が難しくなった」との回答が23.3(2024/12/12)
- 【独自調査】首都圏の内装仕上げ工事業、「適正工期への見直しの動き実感せず」と6割が回答(2024/6/28)
- 【独自調査】現場所長、4月からの残業規制開始も「働き方はかえって厳しくなる」が4割(2024/3/28)
- 【独自調査】デジタル化による生産性向上、「施工・専門工事」での遅れが深刻化(2024/3/21)
- 【独自調査】建設現場の痛みは「週末にも働く(工期順守と厳しい工程管理)」が5割(2024/2/27)
- 【独自調査】建設2024年問題 、「人手不足と採用の改善」への期待は1割にも満たず(2024/2/19)
- 【独自調査】建設産業の最大課題は人材不足(63.0%)、昨年より深刻さ増す(2024/2/9)
- 【建設現場の意識調査】現場監督・所長の65.5%は、デジタル化未対応による仕事減少に不安(2023/5/17)
- 【建設業界従事者のデジタルツール意識調査】デジタル未対応による将来の仕事への不安がある方は63.4%(2023/4/13)
- 【建設業界従事者の建設DX意識調査】進まぬデジタル化の実態は「施工・専門工事」「施工管理」にあり(2023/4/6)
- 【建設業界従事者の業界イメージ調査】建設業界人が思う最も深刻な課題は「人手不足」56.5%(2023/3/14)
- 【建設DX実態調査】建設DXの推進はパートナーとの連携がカギ(2022/10/28)
- <建設DX実態調査)競合のデジタル化が自社のDX推進の起爆剤に(2022/9/30)
- <建設DX実態調査>建設DXのカギは、DX推進部門との関係性強化とBIM利用(2022/8/30)
- <建設DX実態調査>図面のデジタル化は建設プロセス全体に影響、多用途でのニーズが判明(2021/9/9)
- <建設DX実態調査>業界全体のデジタル化は進行、プロセス別では格差も(2021/8/23)
- 【続報】設計士の本音調査 約5割の設計士が「“図面に落とし込む建材情報の収集”を効率化したい」と回答 ~デジタル化とBIMの重要性~(2019/10/23)
- 設計士の本音調査を実施 6割以上が「発想のための時間を”業務時間外”で確保している」と回答、業務の効率化には「デジタル化」を期待(2019/9/25)
参考
- DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
経済産業省の定義によれば「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」を指し、単なるデジタル活用とは区別されています。 - サプライチェーンとは
商品や製品が消費者の手元に届くまでの、調達、製造、在庫管理、配送、販売、消費といった一連の流れのことをいいます。
資料
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【本件に関する報道関係者からの問合せ先】
野原グループ株式会社
マーケティング部 ブランドコミュニケーション課(担当:森田・髙橋)
E-Mail:nhrpreso@nohara-inc.co.jp

