【独自調査】デジタル化による生産性向上、「施工・専門工事」での遅れが深刻化

2024年3月21日 リリース

BuildAppで建設DXに取り組む野原グループ株式会社は、「建設DXで、社会を変えていく」情報メディア「BuildApp News(ビルドアップニュース)」が2024年1月に実施した「建設業界従事者1,000人への独自調査」から、「デジタル化による生産性向上の実態」について結果を発表します。

政府は、2024年4月からの建設業への時間外労働時間の上限適用を見据え、2018年3月に「建設業働き方改革加速化プログラム」を策定しています 。同プログラムでは、「生産性向上に関する取組み」が重点分野の一つとされ、「IoTや新技術の導入等による施工品質の向上と省力化を図る」旨の記載があります。しかし、調査結果からは、建設プロセス全体のデジタル化による生産性向上には道のりが遠く険しい実態が分かりました。また、「デジタル化に対応できないと将来仕事が減るという不安」は20代で約7割に上っていました。(調査結果に対する芝浦工業大学 志手一哉教授のコメントは後述)

野原グループは、建設産業の生産性向上には、建設プロセス全体でのデジタル化、特にBIM活用による「建設産業の工業化」「省人化」が重要だと考えています。同時に、誰もが容易にBIM活用できる環境、仕組みの整備を急がなくてはなりません。私たちは、BIM設計-製造-施工支援プラットフォーム「BuildApp」でそれを実現し、建設DXで社会を変えてまいります。

調査実施概要 (調査元:BuildApp News 編集部)

  • 調査期間:2024年1月15日~1月22日
  • 回答数:1,000人
  • 調査対象者:全国の建設業界従事者(20~70代)
  • 調査方法:インターネット調査(ゼネラルリサーチ株式会社)

芝浦工業大学 建築学部建築学科 教授 志手一哉氏より|調査結果について

■芝浦工業大学 建築学部建築学科 教授 志手一哉 氏

“ 建設プロジェクトのプロセス改善は、個社ごとに行っても意味がなく、多数の企業から人が集まるプロジェクトで実施しなければ効果を発揮しません ”

デジタル化による生産性向上は、2つの考え方に分類できます。

一つ目は、より便利なアプリケーションやツールを使うことにより個人の作業効率が向上することです。オペレーションを外注に委託していては作業時間を短縮できません。

二つ目は、建築生産プロセスの非効率を解消するために仕事のやり方を変革し、それを具現化するために便利なアプリケーションやツールを用いることです。例えば、実施設計段階にゼネコンやサブコンが部分的な設計を担うためにCDE(Common Data Environment/共通データ環境)を用いるようなやり方です。

いずれにしても、技術者自身がアプリケーションやツールを用いて仕事をしなければなりません。
デジタル化すればおのずと生産性が向上するわけではなく、アプリケーションやツールを自ら使いこなさなければ生産性は向上しません。

また、デジタル化が効率的なプロセスを提示してくれるわけではなく、プロセスの改善はあくまで人の強い意志が必要です。

そして、建設プロジェクトのプロセス改善は、個社ごとに行っても意味がなく、多数の企業から人が集まるプロジェクトで実施しなければ効果を発揮しません。それらの苦悩が垣間見えるアンケートの結果ではないかと思います。

調査結果

デジタル化による生産性向上の遅れは「施工・専門工事(39.8%)」が最多、昨年より4ポイント上昇、深刻さ増す
~「デジタル化に対応できないと将来仕事が減るという不安」は20代で約7割~

1.【デジタル化未対応による仕事の不安】

  • 「デジタル化に対応できないと将来仕事が減るのでは、という不安」がある方は全体の61.3%だった。
  • 2023年調査とほぼ変わらない結果となったことから、依然として、今後はデジタル対応が必要であることは、半数以上の建設業界従事者において認識されていると推測できる。
  • 年代別に「デジタル化に対応できないと将来仕事が減るのでは、という不安」がある方の割合をみると、40代が最も数値が小さく、未来を担う若い世代(20代・30代)、ベテラン世代で多い傾向が見て取れた(40代を境に、若くなるほど、ベテランになるほどその数値が大きい)。
    40代は、建設業への従事年数も一定あり建設業に多いアナログ手法と、デジタルデバイスの両方に対応できている方が多いのではないか。

(事業規模別、従事業務別等の結果は別紙参照)

2.【デジタル化による生産性向上、業務効率化】

業務プロセスごとに、「デジタル化による生産性向上、業務効率化」が進んでいるものと、遅れているものを尋ねたところ、遅れているプロセスの1位「施工・専門工事」は前回調査結果の35.8%から4ポイント上昇しており、深刻さが増していると言える。

  • 「デジタル化による生産性向上、業務効率化が遅れていると思う業務プロセス」の1位「施工・専門工事」、2位「施工管理」が、生産性向上、業務効率化の鍵になりうると考えられる。
  • 施工管理については、デジタル化による生産性向上と業務効率化が「進んでいる」でも3位に入っていることから「遅れている」「進んでいる」は二極化している可能性も。

(前年度比、従事業務別、業種別の結果は別紙を参照)

デジタル化による生産性向上、業務効率化 ※複数回答
進んでいると思う業務プロセス
遅れていると思う業務プロセス
1位 設計関連業務(設計・監理など)(40.2%) 施工・専門工事(39.8%)
2位 見積・積算業務(38.2%) 施工管理(24.9%)
3位 施工管理(34.0%) 営業(22.5%)

3.【デジタル化による「生産性向上、業務効率化が進まない理由」(複数回答)】

  • 上位6位は次の通りで、前年の調査結果とほぼ変わらない結果であった
  • 1位「デジタル化できない作業が多い」の割合は微増、6位「従来のやり方が一番早いと思っているから」は微減している。
デジタル化による「生産性向上、業務効率化が進まない理由」 ※複数回答
2024年調査 2023年調査
1位 デジタル化できない作業が多い(55.8%) デジタル化できない作業が多い(52.8%)
2位 現場での変更が多くデータ更新が面倒(27.6%) 現場での変更が多くデータ更新が面倒(29.9%)
3位 導入から運用までの煩雑さ(22.6%) 導入から運用までの煩雑さ(23.8%)
4位 予算が確保できない(21.3%) 予算が確保できない(22.1%)
5位 ツールの使い方を覚えるのが面倒(20.4%) 従来のやり方が一番早いと思っているから(21.7%)
6位 従来のやり方が一番早いと思っているから(19.5%) ツールの使い方を覚えるのが面倒(20.1%)
  • デジタル化による「生産性向上、業務効率化が進まない理由の1位に上がった「デジタル化ができない作業が多い」に関連して、「デジタル化が難しいと思う業務」を尋ねたところ(複数回答)、順位は昨年同様の結果であった。しかし、1位「施工トラブル(56.7%)」だけが前年の調査結果よりもその割合が増えていたことに注目したい。
デジタル化が難しいと思う業務 ※複数回答
2024年調査 2023年調査
1位 施工トラブル(56.7%) 施工トラブル(52.4%)
2位 見積交渉(29.7%) 見積交渉(31.3%)
3位 会議・打ち合わせ(27.8%) 会議・打ち合わせ(29.9%)

4.【人手不足への対策(最大3つまで回答)】

  • 「建設2024年問題に限らず、人手不足問題に対して所属している会社はどのような対策を講じていますか?(最大3つまで回答可)」と尋ねたところ、1位「若手の採用(32.6%)」、2位「対策は出来ていない(検討もされていない)(31.5%)」、3位「従業員の給与ベースアップ(20.7%)」となった。
  • 結果を総じてみてみると、「人手不足対策」は「採用活動(78%)」が最多であり、「デジタル化(ICT導入・DX化の導入推進)による生産性の向上(14.9%)」は進んでいないことが分かる。
  • 一方で、今後の労働人口不足が確実と言われている中で、建設産業では、従来同様の「人」に頼りすぎる対策よりも、「デジタル化(ICT導入・DX化の導入推進)による生産性の向上」への移行が求められるのではないか
  • 「人手不足問題に対する会社の対策」の設問で、「デジタル化(ICT導入・DX化の導入推進)による生産性の向上」を選んだ方(n:149)に、「人手不足の解消が期待できるデジタル技術(機器・ツール)」を尋ねたところ(複数回答)、上位3位は次表の通りとなった。
    官民で進める「BIM(3Dモデルで企画・設計・施工・維持管理に関する情報を一元管理)」が群を抜いていたことに注目したい。
人手不足の解消が期待できるデジタル技術(機器・ツール) ※複数回答、n:149
1位 BIM(3Dモデルで企画・設計・施工・維持管理に関する情報を一元管理) (45.0%)
2位 施工管理ツール (20.1%)
3位 図面データ化ツール (19.5%)
  • 人手不足の解消が期待できるデジタル技術に「BIM(3Dモデルで企画・設計・施工・維持管理に関する情報を一元管理)」を選択した理由を尋ねたところ、BIMの情報管理性、分かりやすさから効率化や生産性向上を期待する声が多い結果となった。
    (詳細は別紙参照)

5.【使いこなすことができればよいと思うデジタル技術(複数回答)】

  • 1位「BIM(3Dモデルで企画・設計・施工・維持管理に関する情報を一元管理)(28.1%)」が、2023年度調査結果よりも3.5ポイント上昇していたことに注目したい。

  • 実際にBIMを活用している方(n:376)の活用シーンは、設計(58.8%)、施工(29.5%)が上位であり、製造(15.4%)や維持管理(9.3%)はその割合が小さかったことから、建設に関わる全プロセスでのBIM活用には至っていないことが推測される。
  • 実際にBIMを活用している方(n:376)にBIM活用に期待する理由を尋ねたところ、次表の通りとなったことから、BIMによる3Dモデルでの分かりやすさが活用メリットと感じていることが推測できる。一方で、「ロボット、ドローン、VRとの連携がしやすくなる(5.6%)」は圏外であったことから、建設RXコンソーシアムを中心にゼネコン各社の連携による進むロボティクスの開発・実装と、BIMとの関連性(連携による可能性の拡大)の認知は進んでいないことが示唆される。

BIM活用者の、BIM活用に期待する理由(n:376) ※複数回答
1位 どこを切った図面でも瞬時に実施できる(44.9%)
2位 設計・構造・設備を総合的に判断できる(42.8%)
3位 発注者から技能工まで完成イメージがわかりやすい(41.2%)
4位 設計段階での手直しが一度で済む(38.8%)
5位 人工(にんく)の省力化ができて人手不足が解消される(19.9%)

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参考

  • 建設の「2024年問題」とは
    建設業における時間外労働の上限規制の適用開始を指します。国の方針として、「働き方改革関連法」の施行により、法律で定められた上限を超える時間外労働はできなくなっていますが、建設業は、長時間労働の背景に、業務の特殊性や取引慣行の課題があることから、時間外労働の上限についての適用が5年間猶予されていました。その猶予期間が間もなく終わり、建設業は2024年4⽉から時間外労働の上限規制が適用されます。これにより、2024年4月以降、建設業では、災害時における復旧及び復興の事業を除き、時間外労働の上限規制が原則通りに適用されるため、建設の品質を維持したより一層の生産性向上が急務と言えます(上限規制の時間は月45時間、年360時間。違反した場合には、罰則として6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるおそれあり)【参考】厚生労働省 働き方改革特設サイト
  • BIM(ビム)とは
    国土交通省によれば、「Building Information Modelling」の略称で、コンピュータ上に作成した3次元の形状情報に加え、室等の名称・面積、材料・部材の仕様・性能、仕上げ等、建築物の属性情報を併せ持つ建物情報モデルを構築することです。
  • CDE(Common Data Environment/共通データ環境)とは
    BIM情報管理の国際標準(ISO19650)で定義されている「共通データ環境」のことを指します。具体的には、「特定のプロジェクトまたは資産(3.2.8)のために共有する情報供給源(3.3.1)であり、管理されたプロセスによって各情報コンテナ(3.3.12)を収集、管理、配布するためのもの」と定義されています。簡単に言うと、全ての情報を管理するハブのようなものです。詳しくは、BuildAppNewsの解説記事をご覧ください。
  • DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
    経済産業省の定義によれば「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」を指し、単なるデジタル活用とは区別されています
  • サプライチェーンとは
    商品や製品が消費者の手元に届くまでの、調達、製造、在庫管理、配送、販売、消費といった一連の流れのことをいいます。

関連リンク

野原グループの調査結果(過去に発表したものを含む)

資料

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