【独自調査】現場の円滑な進行を支えるベテラン技術者の「ノウハウや技術」喪失に8割強が危機感

2025年5月21日 リリース
■「ノウハウや技術」の喪失へ危機感を抱く建設産業従事者は8割強

BuildApp(ビルドアップ)で建設DXに取り組む野原グループのBuildApp総合研究所(所在:東京都新宿区、代表:山梶真司)は、建設業で企業倒産が増加する中、超高齢社会を迎え深刻な人材不足が懸念される「2025年問題」が到来することを受け、全国の20代~70代の建設産業従事者1,257人を対象に、建設現場における「ノウハウや技術」喪失に関する調査を行いました。

今回の調査では、全国の建設業界従事者の8割強が、建設業の円滑な進行に欠かせない「ノウハウや技術」が失われるリスクを感じており、次世代に伝わらないままノウハウや技術が失われることに対する危機感が強まっていることが明らかになりました。BIMツール導入により、資材手配や協力会社との調整といった現場の段取り業務を代行・標準化させることで、建設現場を円滑に進める「ノウハウや技術」を次世代に継承し、品質を保ちながら一連の建設作業を遂行することが期待されています。

<調査実施概要>

  • 調査元:BuildApp総合研究所
  • 調査期間:2025年3月21日~3月31日
  • 調査対象:全国の20代~70代の建設産業従事者1,257人
  • 回答数:1,257人
  • 調査方法:インターネット調査(ゼネラルリサーチ株式会社)

調査実施の背景

建設業の倒産は過去10年で最多。2025年問題の到来もあり人材不足の解決は喫緊の課題に

帝国データバンクの統計によると、2024年の建設業の倒産件数は過去10年で最多の1,890件となり(参考記事はこちら)、物価高に加え、建設現場での「職人不足」と人材の維持・確保に伴う人件費の高騰によって事業の継続を断念するケースが目立つといいます。そのような中、日本人の5人に1人が後期高齢者となる2025年問題が到来し、建設業における人材不足の解決は喫緊の課題と言えます。

そこで、BuildApp総合研究所では、建設現場の円滑な進行に欠かせない「ノウハウや技術」の継承に関する調査を実施、人材不足解決の糸口を探しました。

調査結果の主なトピックス

1.建設産業従事者の8割強が、建設現場における「ノウハウや技術」喪失へ危機感を抱く。特に「施工管理」プロセスにおける業務効率化の遅れが目立つ

  • 81.0%もの建設産業従事者が、ベテラン技術者の「ノウハウや技術」が「失われる可能性がある」と懸念。そのうち、半数近く(44.5%)が「5年以内に失われる」と予測する結果となりました。
  • 生産性向上や業務効率化が特に遅れている分野を聞くと、3人に1人の33.3%が「施工管理」を挙げトップに。続いて「営業」(28.4%)、「施工・専門工事」(27.2%)、「見積・清算業務」(24.3%)が挙がりました。(2025年4月24日発表「【独自調査】建設DX、半数以上がデジタル化に着手、約3割が効果を実感」参照)。
■アナログ業務が多く、生産性向上や業務効率化が遅れていると思う業務プロセス

2.「ノウハウや技術」の継承はアナログ頼み。「継承の方法が取られていない」という回答も4人に1人に

  • 54.3%と半数以上が「ノウハウや技術」について「若手に十分に伝えられていない」と実感していることが分かりました。
  • 「ノウハウや技術」の継承について、「口頭での指導」(36.2%)、「打ち合わせ」(33.3%)「図面への手書きメモ」(26.3%)等のアナログな方法に依存する現状が確認されましたた。また、「特に方法は取られていない」(26.9%)は約4人に1人が回答していることから、ノウハウや技術の継承が進まない現場も多いことを示す結果となりました。
■ベテラン技術者がもつ技術・ノウハウの継承状況
■ベテラン技術者がもつ技術・ノウハウの継承方法の現状

3.「ノウハウや技術」継承のため、「BIMツール」の活用を期待する建設産業従事者が2割以上

  • 「ノウハウや技術」を若手に伝えるためには、「ベテランと若手が一緒にプロジェクトを進める」(47.2%)、「ノウハウ引継ぎの仕組み作り(引継ぎ期間を設ける・ノウハウの継承を評価する制度を作る等)」(34.9%)が上位に挙がりました。
  • 経験や勘に頼る部分が大きいため「ノウハウを継承するのは難しい」(29.6%)との回答も3割に上っています。
  • 一方、約5人に1人は、「BIMやデジタルツールを活用する」(22.7%)ことで「ノウハウや技術」のデジタル化と若手への継承が進むことを期待していることが分かりました。この点、建築主に聞いた「建設プロジェクトの品質を落とさず、計画通りに実行するために必要だと思うこと」(詳細は、【独自調査】「建設工事を取り巻く現状」に、建築主の約6割が危機感をご参照)としては、「BIMの活用による設計・施工プロセスの生産性向上」(33.6%)がトップに挙げられていることから、建築主においては、建設現場におけるBIM活用への期待が大きいことがうかがえる結果がでていることも注目したいと思います。
■若手への、ベテラン技術者のノウハウや技術の有効な伝え方
■建築主が思う「建設プロジェクトの品質を落とさず、計画通りに実行(設計・着工・竣工引渡し)するために必要なこと」

ノウハウや技術の継承とBIM活用が特に求められる内装仕上げ工事

内装仕上げ工事では、ベテラン営業担当者のいわゆる番頭業務の約3分の1を建材の数量算出や手配が占めており、さらに工期終盤に位置するため、前工程の遅延による帳尻合わせを強いられることも少なくありません。こうした中で「ノウハウや技術」の喪失により資材管理や工程調整が乱れると、建設計画への影響は大きくなることが予測されます。
野原グループは、これらの課題に対応し、内装仕上げ工事の運営をより安定的に進めるための仕組みとして、建材管理の標準化を支援する「BuildApp 内装 建材数量・手配サービス」を提供しています。

BIM設計-製造-施工支援プラットフォーム「BuildApp」について ※登録商標取得済み

「BuildApp(ビルドアップ)」は、設計事務所やゼネコンが作成したBIM設計データをより詳細なデータに置き換え、各建設工程で必要なデータとして利活用し建設工程全体の生産性向上を実現するクラウドサービスです。設計積算から製造・流通・施工管理・維持管理までをBIMでつなぐ複数のサービスにより、各プレイヤーに合わせたサービスを提供します。そして、設計・施工の手間・手戻りをなくし、製造・流通を最適化して、コスト削減と廃棄物・CO2削減に貢献します。
「BuildApp」は、建設サプライチェーンの抜本的な効率化と未来へ繋がる成長をサポートし、皆さまと一緒に建設業界をアップデートしていきます。

私たちがBuildAppで実現したいこと

  • BIM起点のデータで建設関係者を繋いで連携を生む
  • 工程の可視化や業務の自動化により業界内の無駄を解消する
  • DX による生産性向上や廃材・CO2排出量の削減を目指す建設企業とともに、サプライチェーン を変革し、「建設DXで、社会を変えていく」

BuildAppの新サービス「BuildApp 内装 建材数量・手配サービス」が2月より商用提供開始

「BuildApp 内装 建材数量・手配サービス」は、建材発注数量の算出や施工情報の自動アウトプットができる内装仕上工事向けのサービスです。

BIMで内装仕上工事に必要な建材手配に関わる業務を効率化し、無駄を省いた効率的な資材管理を実現します。 2025年2月3日より商用提供を開始し、「建築プロジェクトでBIM化が遅れている内装仕上工事」を情報マネジメントの観点から変革する第一歩を踏み出しました。

お問い合わせ先

BuildApp WEBhttps://build-app.jp/
フォーム入力https://build-app.jp/contact/
電話03-4535-1158

参考

  • BIM(ビム)とは
    国土交通省によれば、「Building Information Modelling」の略称で、コンピュータ上に作成した3次元の形状情報に加え、室等の名称・面積、材料・部材の仕様・性能、仕上げ等、建築物の属性情報を併せ持つ建物情報モデルを構築することです。
  • DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
    経済産業省の定義によれば「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」を指し、単なるデジタル活用とは区別されています。
  • 省人化とは
    一般的に、単位経済活動あたりの労働時間や人手を減少させること。単位仕事あたりの人間の労力を減少させる省力化とは違う、と言われています。
  • サプライチェーンとは
    商品や製品が消費者の手元に届くまでの、調達、製造、在庫管理、配送、販売、消費といった一連の流れのことをいいます。

関連リンク

これまでの調査結果一覧

資料

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野原グループ株式会社
マーケティング部 ブランドコミュニケーション課(担当:齋藤・萩谷)
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