【独自調査】建設現場の痛みは「週末にも働く(工期順守と厳しい工程管理)」が5割

2024年2月27日 リリース

■事業規模別_現場の痛み

BuildAppで建設DXに取り組む野原グループ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:野原弘輔)は、「建設DXで、社会を変えていく」情報メディア「BuildApp News(ビルドアップニュース)」が2024年1月に実施した「建設業界従事者1,000人への独自調査」から、「建設現場の痛みと期待」について結果を発表します(*)。

2024年4月から、時間外労働の上限規制厳格化(建設の「2024年問題」 )が建設産業にも適用されます。調査結果からは、長年、建設産業が抱えてきた課題(人手不足と生産性向上)が「建設2024年問題」で改めて浮き彫りになっていることが分かりました。

工期や品質の順守が求められる現場では、痛みが伴う深刻な課題の1位に「週末にも働く(工期厳守や、工程管理が厳しくて休めない)」、建設業界で改善して欲しいことには1位「給与水準のアップ」、2位「長時間労働(休日取得日数・早出・残業)の是正」が上がりました。

野原グループは、建設業界従事者の働き方改善(給与水準のアップを含む)には、生産性向上が不可欠だと考えています。そして、デジタル技術の導入による建設情報の一元管理と「見える化」が生産性向上の第一歩になると確信しています。
私たちは、BuildApp事業で業界全体の建設DXを推進し、AI(人工知能)やICTなど新技術を活用したサプライチェーン全体と工業化、生産性向上、更に言うと、人が働くことの付加価値の向上を目指します。

(*)建設業界従事者1,000人への独自調査の結果は、今後「デジタルツールに対する意識」について発表予定です。建設業界全体が、今後どのように「働き方」「工期」「品質」「給与」を考え行動していけばよいのかを考察します。

調査実施概要 (調査元:BuildApp News 編集部)

  • 調査期間:2024年1月15日~1月22日
  • 調査対象者:全国の建設業界従事者(20~70代)
  • 回答数:1,000人
  • 調査方法:インターネット調査(ゼネラルリサーチ株式会社)

調査結果

1.【現場で、痛みが伴う深刻な課題(複数回答)】

1位「週末にも働く(501名、50.1%)」、2位「前後の工程の都合での手待ち(350名、35%)」、3位「新築の竣工前に変更や手戻りがある(334名、33.4%)」、4位「一日の中で実作業時間が足りない、作業効率が悪い(321名、32.1%)」、5位「雨が降るとお給料がもらえない(226名、22.6%)」との結果となった。

全体(n:1000) 比率
1位 週末にも働く(納期厳守や、工程管理が厳しくて休めない) 50.1%
2位 前後の工程の都合での手待ち(現場に入ってみたら作業できる状態ではなかった) 35%
3位 新築の竣工前に変更や手戻りがある(作業指示が明確ではない) 33.4%
4位 一日の中で実作業時間が足りない。作業効率が悪い。
(朝礼、昼に午後打ち合わせ、午後に明日の作業確認、夜に清掃・後作業が多い)
32.1%
5位 雨が降るとお給料がもらえない(工種にもよるが日給制は天候に左右される) 22.6%
    • 全体結果の1~4位からは、建設産業での「現場で、痛みが伴う深刻な課題」の背景には、工程間の連携不足(コミュニ―ケーションロス)・建設情報の精度不足が「手待ち(現場に入ってみたら作業できる状態ではなかった)」や「手戻り(何らかの問題が生じることにより工程の途中で前に戻って作業をやり直すこと)」に影響を及ぼしているではないかと推測される。
    • 5位「雨が降るとお給料がもらえない(226名、22.6%)」については、建設産業では、工事現場の大半が屋外のため天候等の自然の影響を受けやすく(屋外産業)、日給制が少なくない技能工(職人)にとっては工事の種類(工種)によって、収入も天候に左右される不安定さがうかがえる。
    • 1位「週末にも働く」の比率を従事業務別に見たところ、工事に直接かかわる「施工(n:231)」で45.0%、「専門工事(n:75)」で48.0%と、この二業務だけが全体比率の50.1%よりも低い結果がでていたことに注目したい。日給制のため働く日数が収入に直接影響することから、「週末にも働く」ことが痛みを伴う深刻課題であると考えていない方々が一定数存在するのではないか。

      ■現場の痛み_「週末にも働く」の従事業務別の結果

 

2.【建設業界で改善して欲しいこと(複数回答)】

1位「給与水準のアップ(571名、57.1%)」、2位「長時間労働(休日取得日数・早出・残業)の是正(495名、49.5%)」、3位「古い慣習の改廃(327名、32.7%)」、4位「事故のない安心・安全なフロー(319名、31.9%)」、5位「デジタルツールを駆使した業務効率化(255名、25.5%)」となった。

■建設業界で改善して欲しいと感じること(複数回答)

  • 従事業務別にみても全体の結果とほぼ同じで、ほぼ全業務において「給与水準のアップ」と「長時間労働(休日取得日数・早出・残業)の是正」が他の項目よりもダントツに比率が高く、「デジタルツールを駆使した業務効率化」「データを活用した情報共有」に期待する声は少なかった。※営業(n:253)では1位「長時間労働(休日取得日数・早出・残業)の是正(51.0%)」、2位「給与水準のアップ(48.6%)」と順位の入れ替わりが見られた。
  • 事業規模別に全体順位との違い・比率の違いに注目してみると、中小企業(n:711)では1位「給与水準のアップ(52.9%)」がとびぬけて比率が高く、大手企業(n:289)では1位「長時間労働(休日取得日数・早出・残業)の是正(51.2%)」、2位「給与水準のアップ(50.2%)」、3位「デジタルツールを駆使した業務効率化(33.2%)」と順位に入れ替わりがあった。
  • 年代別にみると、「デジタルツールを駆使した業務効率化」について、他の年代に比べて30代で改善を望む比率が高かった点に注目したい。

■事業規模別_建設業界で改善して欲しいと感じること(複数回答)

■年代別_建設業界で改善して欲しいと感じること(複数回答)

 

結果詳細は、リリースPDFをご参照ください。

「建設DXで、社会を変えていく」ための情報メディア BuildApp Newsについて

BuildApp News(ビルドアップニュース)は、「建設DXで、社会を変えていく」ための情報メディアです(運営会社:野原グループ株式会社)。住宅・非住宅の両分野を担う建設プレイヤーの皆様に役立つ建設DXの関連情報を毎日配信中です。
建設DX関連のトレンドをいち早く解説しておりますので、ぜひ、日々のインプットや社内浸透、新人教育などにご活用ください。【WEB】https://news.build-app.jp/

■主なコンテンツ

  1. 【建築DX・土木DX・BIM/CIM・ゼネコン情報の新着情報】ご自身のご興味別に最新情報を入手できます。特に「建築DX」は、今回の戸建住宅分野のDX関連情報のニュース配信開始により、住宅・非住宅の両分野のニュースをBuildApp News内で閲覧できます(ニュースイメージは次表を参照)
    建設(建築+土木)全般 住宅分野 非住宅分野
  2. 【基礎知識と活用事例】「BIMとは」といった解説記事や、「用語集」などもご用意。基礎知識の確認から、活用事例まで、知識を広げられます。
  3. 【話題になっているトレンド】「今話題になっているトレンド」キーワードを毎週ピックアップし、丁寧に解説していきます。

BuildApp Newsへの問合せ先

BuildApp News WEB https://news.build-app.jp/
お問い合わせ先  組織名 BuildApp News編集部
メール news.buildapp@nohara-inc.co.jp

参考

  • 建設の「2024年問題」とは
    建設業における時間外労働の上限規制の適用開始を指します。国の方針として、「働き方改革関連法」の施行により、法律で定められた上限を超える時間外労働はできなくなっていますが、建設業は、長時間労働の背景に、業務の特殊性や取引慣行の課題があることから、時間外労働の上限についての適用が5年間猶予されていました。その猶予期間が間もなく終わり、建設業は2024年4⽉から時間外労働の上限規制が適用されます。これにより、2024年4月以降、建設業では、災害時における復旧及び復興の事業を除き、時間外労働の上限規制が原則通りに適用されるため、建設の品質を維持したより一層の生産性向上が急務と言えます(上限規制の時間は月45時間、年360時間。違反した場合には、罰則として6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるおそれあり)【参考】厚生労働省 働き方改革特設サイト
  • BIM(ビム)とは
    国土交通省によれば、「Building Information Modelling」の略称で、コンピュータ上に作成した3次元の形状情報に加え、室等の名称・面積、材料・部材の仕様・性能、仕上げ等、建築物の属性情報を併せ持つ建物情報モデルを構築することです。
  • DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
    経済産業省の定義によれば「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」を指し、単なるデジタル活用とは区別されています
  • プライチェーンとは
    商品や製品が消費者の手元に届くまでの、調達、製造、在庫管理、配送、販売、消費といった一連の流れのことをいいます。

関連リンク

野原グループの調査結果(過去に発表したものを含む)

 

資料

本件に関する問い合わせ

お問い合わせ

野原グループ株式会社
マーケティング部 ブランドコミュニケーション課
担当:森田・齋藤
E-Mail:nhrpreso@nohara-inc.co.jp