【独自調査】建設産業の最大課題は人材不足(63.0%)、昨年より深刻さ増す
BuildAppで建設DXに取り組む野原グループ株式会社は、「建設DXで、社会を変えていく」情報メディア「BuildApp News(ビルドアップニュース)」が2024年1月に「建設業界従事者1,000人への独自調査」を実施したことをお知らせします。
建設の「2024年問題」 が社会の注目を集めている中で、今回は調査結果から「業界従事者が思う建設業界の課題と解決に期待するデジタル技術」について発表します(*)。結果からは、「人材不足」の更なる深刻化、国が進める「BIMの活用」にはBIM導入費用、必要性、人材育成の面で障壁があることが分かりました。
野原グループは、この現状を打開するために、建設業界従事者の多くが、BIMソフトがなくても簡単にBIMのメリットを感じ生産性を向上できる基盤環境としてのBuildApp事業を強化してまいります。
(*)建設業界従事者1,000人への独自調査の結果は、今後「建設2024年問題への意識」、「デジタルツールに対する意識」について発表予定です。建設業界全体が、今後どのように「働き方」「工期」「品質」「給与」を考え行動していけばよいのかを考察します。
調査実施概要 (調査元:BuildApp News 編集部)
- 調査期間:2024年1月15日~1月22日
- 調査対象者:全国の建設業界従事者
- 回答数:1,000人
- 調査方法:インターネット調査(ゼネラルリサーチ株式会社)
調査結果
1.【建設業界で最も深刻な課題】最大の課題は「人材不足(63.0%)」で、昨年より6ポイント上昇、深刻さ増す
- 1位は「人材不足(63.0%)」で前回調査結果の56.5%を上回った。2位「高齢化による技術継承(45.3%)」も同様に、前回調査結果の43.6%より上振れした結果となった。
- 事業規模別の結果も同様で、建設業界では「人材不足」と「高齢化による技術承継」が課題として共通認識されると同時に、年々と課題の深刻さが増していることが分かった。一方で、「人材不足」に注目すると、中小企業よりも大手企業の方が、より課題としての深刻さが増しているとの結果にも注目したい。
- 建設現場での施工関連業務の従事者(施工管理、施工、専門工事)に着目すると、3位に「労働時間が長い・年間休日が少ない(31.0%)」があがっていることに注目したい。
全体(n:1000) | 施工関連業務の従事者(n:613) | |
---|---|---|
1位 | 人材不足(63.0%) | 人材不足(65.9%) |
2位 | 高齢化による技術継承(45.3%) | 高齢化による技術継承(47.8%) |
3位 | 円安などによる建材・人件費の高騰(30.2%) | 労働時間が長い・年間休日が少ない(31.0%) |
2.【業界課題を解決すると期待するデジタル技術】1位は「施工ロボット(36.2%)」、「BIM/CIM」は圏外との結果に
- 建設産業従事者が「業界課題を解決すると期待するデジタル技術」の1位「施工ロボット(36.2%)」、2位「図面管理システム(24.9%)」、3位「VR・AR・MR(17.9%)」との結果となった。
- 「施工ロボット」は導入が進んでいると思うデジタル技術の1位(20.7%)にも上がっており、建設RXコンソーシアムを中心にゼネコン各社の連携による開発と実装の効果の現れともみることができる。
- 「BIM/CIM」は建設業界の生産性向上に寄与するものとして国がその活用を進めているが、業界内では「業界課題を解決すると期待するもの」、「導入が進んでいると思うもの」のいずれでも圏外だった。
3.【BIM活用の実態】「BIMを活用していない、できない」が62.4%、気になる理由は?
- 中小企業(n:711)と大手企業(n:289)では、より一層、BIM活用状況に大きな乖離がある。
- ゼネコンをみても、スーパーゼネコンと地方ゼネコンとではBIM活用状況に大きな乖離がある。
- 建設工程の下流(工事関連/サブコン、工務店、専門工事店)にいくほどBIMを活用できていない。
- 業務別の結果からは、建設現場での施工関連業務の従事者(施工管理、施工、専門工事、n:613)のBIM活用が進んでいないことが分かる。
- 「BIMを活用しない、できない(62.4%)」と回答した624名を対象に、その理由を質問したところ(複数回答)、「ソフトが高額で購入や維持ができない(199名)」と「業務の関係者や発注者から建築BIMの活用を求められていない(199名)」が同率1位、3位「BIMソフトを使える人がいない・不足している(191名)」となった。
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参考
- 建設の「2024年問題」とは
建設業における時間外労働の上限規制の適用開始を指します。国の方針として、「働き方改革関連法」の施行により、法律で定められた上限を超える時間外労働はできなくなっていますが、建設業は、長時間労働の背景に、業務の特殊性や取引慣行の課題があることから、時間外労働の上限についての適用が5年間猶予されていました。その猶予期間が間もなく終わり、建設業は2024年4⽉から時間外労働の上限規制が適用されます。これにより、2024年4月以降、建設業では、災害時における復旧及び復興の事業を除き、時間外労働の上限規制が原則通りに適用されるため、建設の品質を維持したより一層の生産性向上が急務と言えます(上限規制の時間は月45時間、年360時間。違反した場合には、罰則として6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるおそれあり)
【参考】厚生労働省 働き方改革特設サイト - 日建連が進める「建設業の働き方改革」とは
日本建設業連合会は、2017年12月に、建設現場における週休二日を実現するための基本方針・具体的な方策である「週休二日実現行動計画」を策定しています。「4週8閉所」は、日建連が進める建設業の働き方の一つです。
【2022年度以降の活動】
・2023年度末までに4週8閉所の実現(「土日閉所」に拘らず、「年間104閉所」の実現)を目指す。
・2024年度を4週8閉所定着確認の1年とする。
・「週休二日」の更なる定着を図るため、「4週8休」の確実な取得に向けた取り組みを推進する。
・閉所状況と併せて、作業所勤務社員の週休二日の実施状況(4週8休)のフォローアップを行う。 - BIM(ビム/Building Information Modellingの略)とは
国土交通省によれば、コンピュータ上に作成した3次元の形状情報に加え、室等の名称・面積、材料・部材の仕様・性能、仕上げ等、建築物の属性情報を併せ持つ建物情報モデルを構築することです。 - DX(デジタルトランスフォーメーション/ Digital Transformationの略)とは
経済産業省に定義によれば「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」を指し、単なるデジタル活用とは区別されています。建設業界でも、AI(人工知能)、ICT(情報通信技術)、ビッグデータなどのデジタル技術を用いて、業務フローの改善や新たなビジネスモデルの創出が始まっています。
関連リンク
野原グループの調査結果(過去に発表したものを含む)
- 【建設現場の意識調査】現場監督・所長の65.5%は、デジタル化未対応による仕事減少に不安(2023/5/17)
- 【建設業界従事者のデジタルツール意識調査】デジタル未対応による将来の仕事への不安がある方は63.4%(2023/4/13)
- 【建設業界従事者の建設DX意識調査】進まぬデジタル化の実態は「施工・専門工事」「施工管理」にあり(2023/4/6)
- 【建設業界従事者の業界イメージ調査】建設業界人が思う最も深刻な課題は「人手不足」56.5%(2023/3/14)
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