BuildApp 乃村工藝社とBIMを活用した内装プレカット工法の実証結果を発表
BuildAppで建設DXに取り組む野原グループ株式会社(以下「野原グループ」)は、株式会社乃村工藝社(本社:東京都港区、代表取締役:奥本清孝、以下「乃村工藝社」)と、職人不足、内装工事における廃材およびCO2削減手法の未確立など、ディスプレイ業界の課題解決を加速させるためにBIMを中心としたDXへの挑戦を続けています。
両社は、建材メーカーや専門工事会社といった建設サプライチェーンの関係者の協力を得て、2023年1月から2月にかけ、ノムラトレーニングセンター(東京都江東区新木場2-1-8)にて、内装施工における壁、床、天井の主要建材のプレカット工法と在来工法の比較実験を協働で行いました。
本実証では、野原グループ「BuildApp(ビルドアップ)」の技術サービス(注)を活用し、プレカット工法を採用した施工では現場廃棄材 26.5%削減、廃棄材由来のCO2排出量 29.6%削減、現場での作業時間13.7% 削減という結果が得られました。
その一方、プレカット工法の効果を高める上では、建材ごとに異なった改善策を検証する必要性も明らかとなりました。
野原グループと乃村工藝社は、ディスプレイ業界のDX化の加速に寄与するのと同時に、業界関係者の課題解決に向けてDXを活用した貢献ができるよう、今後も協力して検証を重ねてまいります。
【中】施工BIMから建材パーツレベルまで詳細度を上げる「内装BIM詳細化」、パーツレベルのBIMから建材メーカーの加工に繋げる「内装BIM-プレカット加工連動」が該当します。
BIMを活用した内装プレカット工法 実証概要
実施背景
- 従来、施工は経験値の高い職人の技術に頼って行われてきましたが、現在では少子高齢化の影響と3K(きつい、汚い、危険)と言われる職場環境イメージによる後継者不足が、業界の課題の一つとなっています。
- 人手不足を補うために有効と考えられ期待されているDXも、建設産業においては導入メリットが見えにくいがために、農業よりも導入が遅れているという実態があります。
- DXによる業界課題の解決を加速させるには課題の可視化が重要と考え、デジタル技術であるBIMデータを活用したプレカット工法を用いて、サプライチェーン全体として、DXによる現場工数及びCO2をどの程度削減(廃材の削減、リサイクル率の向上)できるのかを主題にした実証実験を実施するに至りました。
実施目的
- 壁・床・天井を対象としたプレカット工法と在来工法の以下項目における比較検証と数値可視化
- 現場廃棄材量
- 現場廃棄材由来のCO2排出量
- 現場作業時間(現場工数)
- プレカット工法の実装に向けた課題の洗い出し
実施内容
実施期間 | 2023年1月23日より2月3日まで |
実施場所 |
ノムラトレーニングセンター 研修室内(東京都江東区新木場2-1-8 )
鉄骨造スレート平屋建 床面積19m×19m(361m²)
※ノムラトレーニングセンターは、乃村工藝社グループと協力会社が一体となり、お客様の課題解決と新たな価値創造に資する人財を協創する舞台として2016年に開設
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検証条件 |
1.左右対称の同サイズ(各5.5m×6.5m)の実験空間を設置。
2.壁・床・天井の内装施工をプレカット工法と在来工法で実施
(同工程を同施工者にて実施。)
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対象建材 |
<壁>軽量鉄骨下地組(以下、LGS)、石膏ボード(以下、PB)、ケイカル板
<床>合板、塩ビタイル、タイルカーペット、磁器タイル
<天井>PB
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測定項目 | 現場廃棄材重量、現場廃棄材由来のCO2重量、現場工数、騒音、粉塵量 |
協力企業 | 別紙の通り |
実証結果
プレカット工法を採用した施工では、従来工法に比べ、現場廃棄材 26.5%削減、廃棄材由来のCO2排出量 29.6%削減、現場での作業時間13.7% 削減という結果となりました。
在来工法 | プレカット工法 | 削減率 | |
廃棄材総重量 | 212.4kg | 156.1kg | △26.5% |
廃棄材由来のCO2総重量 | 187.5kg | 132.0kg | △29.6% |
現場工数(時間/人) | 40.2時間 | 34.7時間 | △13.7% |
騒音(5分間のデシベル積分値) | 65,192db | 50,834db | △22.0% |
粉塵量(㎍/㎥) | 295㎍/㎥ | 261㎍/㎥ |
△11.5%
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まとめと今後の展望
- 工数およびCO2の削減効果は一定量の結果が得られましたが、建材による効果の出方の違いがみられました。さらなる効果向上のために、建材ごとに適した改善策の検証が必要です。
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野原グループと乃村工藝社は、今後も検証を重ね、BIMを活用した内装プレカット工法をディスプレイ業界向けのDXサービスとして確立してまいります。
BIM設計-製造-施工支援プラットフォーム「BuildApp」について ※登録商標取得済み
「BuildApp(ビルドアップ)」は、設計事務所やゼネコンが作成したBIM設計データをより詳細なデータに置き換え、各建設工程で必要なデータとして利活用し建設工程全体の生産性向上を実現するクラウドサービスです。設計積算から生産・流通・施工管理・維持管理までをBIMでつなぐ複数のサービスにより、各プレイヤーに合わせたサービスを提供します。
設計・施工の手間・手戻りをなくし、生産・流通を最適化して、コスト削減と廃棄物・CO2削減に貢献します。
「BuildApp」は、建設サプライチェーンの抜本的な効率化と未来へ繋がる成長をサポートし、皆さまと一緒に建設業界をアップデートしていきます。
2023年12月開催予定の「第3回建設DX展(東京)」にも出展予定
野原グループは、今回活用したBIM設計-製造-施工支援プラットフォーム「BuildApp(ビルドアップ)」を、この12月に第3回の開催を迎える「建設DX展(東京)」に出展します。
問合せ先
BuildApp WEB | https://build-app.jp/ | |||
お問い合わせ先 | フォーム入力 | https://build-app.jp/contact/ | ||
メール | info@build-app.jp | 電話 | 03-4535-1158 |
参考
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ディスプレイ業界とは店舗や展示会ブース、オフィスなど、幅広い範囲で内装や展示に関するデザインを行う業界を指します。
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BIM(ビム/Building Information Modelingの略)とは国土交通省によれば、3次元のデジタルモデルに床・壁・天井等の「属性」や、仕上げ・コスト・スケジュール等の「管理情報」を持たせ、設計・施工・維持管理に情報を活用する事で業務を効率化する仕組みを言います。
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プレカット工法とは従来は建設現場で施工箇所に適したサイズにカットして施工する資材等を、工場で事前にカットしてから搬入し施工することを言います。